更新日: 2026-09-18

重要事項説明にハザードマップを載せる義務、何をどこまで示せばよいか

2020年8月28日に施行された宅地建物取引業法施行規則の改正により、不動産取引の重要事項説明で水害ハザードマップにおける取引対象物件の所在地を説明することが義務化されました(国土交通省 報道発表資料)。近年の水災害の頻発を受けた改正で、売買だけでなく賃貸借の重要事項説明でも対象になります。

何を説明する義務があるのか

義務の中身は、水防法に基づき市町村が作成する水害(洪水・雨水出水・高潮)ハザードマップにおいて、対象物件がどのあたりに位置するかを示すことです。国土交通省が公表しているQ&A(宅地建物取引業法施行規則の一部改正に関するQ&A)によれば、市町村が配布する印刷物、または市町村のホームページに掲載されているハザードマップを提示し、対象物件のおおよその位置を示すことが求められています。「浸水しない」「安全である」といった判定結果そのものを保証する義務ではなく、ハザードマップ上の位置を示して説明する義務である点に注意が必要です。

対象になるハザードマップの種類

義務化の対象は水防法に基づく水害ハザードマップで、具体的には次の3種類が含まれます。

  • 洪水浸水想定区域に関するハザードマップ
  • 雨水出水(内水)浸水想定区域に関するハザードマップ
  • 高潮浸水想定区域に関するハザードマップ

土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域は、この水害ハザードマップの義務化とは別の根拠(宅建業法施行規則の別の条項)で説明が求められる項目です。「ハザードマップ関連はまとめて1つの義務」と捉えると条文上の整理を誤りやすいため、対象ごとに分けて確認するのが安全です。

どこで最新のハザードマップを確認するか

市町村が作成した最新のハザードマップは、各市町村のホームページで公開されているほか、国土交通省のハザードマップポータルサイト「重ねるハザードマップ」でも全国のハザード情報を地図上に重ねて確認できます。市町村ごとに更新のタイミングが異なるため、重要事項説明で使う際は、参照した地図の作成年やデータの更新日時を記録しておくと、後から説明内容の根拠を示しやすくなります。

対象になる取引の範囲

説明義務は宅地建物取引業者が仲介・代理を行う取引全般に及び、売買・交換だけでなく賃貸借の重要事項説明でも対象になります。物件が賃貸のワンルームであっても、ハザードマップ上の位置を示す義務は同様に課されるため、「賃貸だから省略してよい」という考え方はできません。また、対象物件そのものがハザードマップの指定区域に入っていない場合であっても、「ハザードマップにおける物件の所在地を示す」という説明自体は行う必要があり、区域外であることも含めて示すのが実務上の対応です。

実務での示し方の目安

物件の住所をハザードマップ上で特定し、浸水深や区域の指定状況が読み取れる範囲を印刷またはスクリーンショットで示すのが一般的な運用です。口頭のみで「特に問題ない地域です」と伝えるだけでは、地図を示して説明したことにならない点に注意してください。取得日時・データの年度・出典(市町村名やポータルサイト名)をあわせて記録しておくと、後日の確認や紛争予防にも役立ちます。

まとめ

水害ハザードマップの説明義務は、2020年の宅建業法施行規則改正で追加された項目で、洪水・雨水出水・高潮の3種類のハザードマップにおける対象物件の位置を示すことが求められています。判定結果の保証ではなく地図上の位置の説明である点、土砂災害や津波とは別枠の義務である点を押さえておくと、実務での混同を防げます。改正から数年が経ち義務自体は定着していますが、説明の記録の残し方は業者ごとにばらつきがあるため、地図の出典・データ年・取得日時をセットで残す運用を社内で決めておくと、後日の問い合わせにも対応しやすくなります。

本記事は2026-09-18時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の説明内容は宅地建物取引士にご確認ください。


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