更新日: 2026-09-18

重要事項説明の調査、何をどう調べればいいか(宅建業法35条の実務)

重要事項説明(35条書面)は、宅地建物取引業法第35条により、契約成立までの間に宅地建物取引士が相手方に説明することが義務づけられている書面です(宅地建物取引業法|e-Gov法令検索)。記載すべき項目は法令で決まっていますが、「どの項目を、どの窓口で、どう調べるか」までは条文には書かれていません。この記事では、調査の全体像を「自分で取れるもの」「役所や関係機関に確認するもの」の2つに分けて整理します。

まず全体を洗い出す

重要事項説明で確認が必要になる主な項目は、大きく次の5つに分かれます。

  1. 登記された権利関係(所有権・抵当権など)
  2. 法令上の制限(用途地域、都市計画、建築基準法上の道路など)
  3. 私道負担の有無
  4. 飲用水・電気・ガスの供給施設、排水施設の整備状況
  5. 水害ハザードマップにおける所在地、造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域等の該当有無

このうち1と5の一部(登記情報、ハザードマップの該当有無)は、登記情報提供サービスや自治体のハザードマップポータルサイトから比較的短時間で調べられます。一方、2の用途地域や都市計画、3の私道負担、4の埋設管の位置関係は、法務局・都市計画課・上下水道局など複数の窓口にまたがり、自分で全部を回ると半日仕事になりがちです。

自分で取れるものから片づける

効率よく進めるコツは、まず「公開データだけで完結する項目」を先に埋めることです。用途地域・建ぺい率・容積率・都市計画区域は、国土交通省の不動産情報ライブラリで住所や地図から検索でき、洪水・高潮・土砂災害のハザード情報もハザードマップポータルサイト「重ねるハザードマップ」で確認できます。これらを先に埋めておくと、残りの「役所でしか確認できない項目」がはっきりして、窓口を回る回数を減らせます。

役所での確認が要る項目を先に絞り込む

道路の種別(公道か私道か、42条2項道路かどうか)、上下水道の私有地内の配管、埋蔵文化財包蔵地の該当有無などは、公開データだけでは分からず、建築指導課・道路管理課・上下水道局への照会が必要です。公益財団法人不動産流通推進センターの解説にもあるとおり、私道負担は「建築基準法上の道路かどうか」と「持分・使用承諾の有無」の両方を確認する必要があり、1つの窓口では完結しないことが多い項目です。

窓口へ行く前に、対象地の地番・住所・現況写真を用意しておくと、その場での確認がスムーズです。

調べる順番の目安

実務では、次の順番で進めると手戻りが少なくなります。

  1. 登記情報の取得:法務局のオンライン登記情報提供サービスまたは登記事項証明書で、所有者・抵当権・地目・地積を確認する
  2. 公開データの一括確認:用途地域・都市計画区域・ハザード情報を、不動産情報ライブラリとハザードマップポータルで確認する
  3. 道路・私道の切り分け:前面道路が公道か私道か、42条2項道路に該当するかを、道路管理課・建築指導課に確認する
  4. 上下水道・ガスの確認:本管の位置と口径、私有地内の引込管の有無を、上下水道局とガス事業者に確認する
  5. 自治体固有の制限の確認:景観条例・宅地開発条例・建築協定など、その市区町村独自の制限がないかを都市計画課に確認する

この順番にすると、1・2で分かった内容をもとに「本当に窓口確認が必要な項目」だけを3〜5で絞り込めるため、同じ窓口に何度も足を運ぶ手戻りを減らせます。

よくある抜け漏れ

現地調査だけで済ませてしまい、造成宅地防災区域や大規模盛土造成地といった「見た目では分からない項目」を見落とすケースがあります。これらは国土数値情報などの公開データで確認できるため、現地調査の前に公開データ側を先に確認しておくと防げます。また、私道負担は「持分の有無」と「通行・掘削の承諾の有無」が別の論点であることを見落としがちです。持分が無くても承諾書が必要になる場合があるため、登記情報だけで判断せず、関係者への確認まで含めて調査範囲に入れておく必要があります。

まとめ

重要事項説明の調査は、①公開データで自動的に埋まる項目、②登記情報で確認する項目、③役所の窓口でしか分からない項目、の3層に分けて考えると進めやすくなります。全項目を同じ手順で調べようとすると時間がかかるため、まず自動で取れる部分を済ませ、残りを絞り込んでから窓口を回るのが実務的です。

本記事は2026-09-18時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の物件の判断は、宅地建物取引士・自治体窓口にご確認ください。


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